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横須賀の歴史を再発見!ガイドと歩く「ヴェルニー公園ガイドツアー」参加レポ!(横須賀市・汐入町)

「ヴェルニー公園の景色と歴史が気軽に楽しめるガイドツアーがあるらしい」と聞いて、地元再発見♪のつもりで参加してみることに。参加費はお手頃500円で、所要時間はたったの1時間
海上自衛隊や米海軍の艦船が見える「横須賀ならでは」の景色はもちろん、2027(令和9)年の大河ドラマの主人公・小栗忠順(おぐり ただまさ)や、フランス人技師ヴェルニーの話など、ヴェルニー公園に隠された歴史が次々と登場して、充実した時間を過ごしました!
今回は、そんな「ヴェルニー公園ガイドツアー」の参加レポートです!

ヴェルニー公園ってどんな公園⁇

ヴェルニー公園は、神奈川県横須賀市にある海沿いの公園で、JR横須賀駅から徒歩約1分。
目の前には海上自衛隊や米海軍の艦船が並び、眺めが抜群!
名前の由来は、幕末から明治初期にかけて横須賀製鉄所観音埼灯台をはじめとする洋式灯台などの建設を指導して日本の近代化を支援したフランス人技師ヴェルニー
春と秋には約130種、約1,300株のバラが咲き誇り、バラの名所としても人気。
園内には人気イタリアンレストランの「アマルフィマリナブルー」もあります!

【アクセス】(公共交通機関ご利用)
京浜急行「汐入」駅から、徒歩約5分
JR「横須賀」駅から、徒歩約1分

【公式WEBサイト】
https://www.kanagawaparks.com/verny/

アマルフィマリナブルーのパスタ
話題のレストラン「アマルフィイ マリナブルー」に行ってみた!絶品イタリアンランチ(横須賀市・汐入)2023年1月に横須賀市汐入のヴェルニー公園内にオープンした、話題の「AMALFI Marina Blu(アマルフィイマリナブルー)」のランチをレポートします。...

ヴェルニー公園ガイドツアー概要

■開催日
毎週土曜日(2025年9月〜2026年3月)

■所要時間
1日2回開催(各回 約1時間)
① 9:30〜10:30(定員20名)
② 11:00〜12:00(定員20名)
※受付は各回15分前から開始

■集合場所
ヴェルニー記念館前(横須賀市東逸見町1-1)

■参加費
お一人様500円(税込)

■参加特典
★三笠循環バス1日乗車券付き
★世界記念艦「三笠」観覧料が半額(通常600円→300円)
★三笠循環バス1日乗車券提示で「YOKOSUKA軍港めぐり」「猿島航路」が10%割引

■予約方法
事前予約可(前日18:00締切)、当日参加も可能!
(ご予約はコチラから▶シティガイドとよこすか散歩【公式】横須賀観光

実際に歩いてみた!ツアー参加レポート

本日のガイドさん

ご案内してくれたのは、NPO法人よこすかシティガイド協会の大石さん。
詳しい歴史はもちろん、写真やイラストなどの資料も活用してくださり、特に歴史に詳しくない筆者でも、とても分かりやすかった!
たまに、くすっと笑えるジョークもあり、安心して楽しめる雰囲気のツアーでした♪

NPO法人よこすかシティガイド協会の大石さん

集合・受付場所

ヴェルニー記念館

ヴェルニー記念館前が集合場所になっています。JR横須賀駅からは徒歩約1分!
改札を出て、海に向かって横断歩道を渡ると、左手にヴェルニー記念館と、ツアーの受付デスクを見つけられます。
この日は当日参加のため、受付で申込書を記入して、参加費500円を支払って受付け完了。
受付けを済ませると、参加特典の「三笠循環バス1日乗車券」と、「いちごよこすかポートマーケット」の割引特典のチラシもいただきました♪

ちなみに、このツアーは事前予約も可能です!
事前予約はこちらから 

見どころ①:JR横須賀駅

JR横須賀駅

ガイドのスタートはJR横須賀駅
普段、何気なく使っていたJR横須賀駅ですが、言われてみれば駅構内に階段が一切ありません。
これは全国的にも珍しい構造で、「階段が一つもない平坦な、人にやさしい駅」として「関東の駅百選」にも選ばれています。
JR横須賀駅は1889(明治22)年、軍港だった横須賀港への人員・物資輸送の拠点として開業。戦後も一時期、米海軍横須賀基地への物資輸送に利用されていた、という歴史があるそうです。
現在の駅舎は、1940(昭和15)年に改築された3代目。レトロな雰囲気が残っていて、どこか懐かしさを感じる佇まいです。
横須賀線建設を、時の総理大臣伊藤博文に建議した陸軍大臣大山巌の妻で、鹿鳴館の貴婦人と言われた捨松(すてまつ)へとガイドさんの話は広がります。巌と捨松の恋愛秘話が面白い!

見どころ②:ヴェルニー記念館

ツアーの集合・受付場所でもある「ヴェルニー記念館」。
開始後は入館してガイドさんが案内してくれます。

ヴェルニー記念館

展示の中でも特に目を引くのが、幕末から平成まで130年間も使われてきたスチームハンマーの実物。
「ヴェルニー公園がある場所は、横須賀海軍工廠の一部や海軍運輸部の跡地です。スチームハンマーは当時の製鉄所で使われていた大型の鍛造・圧延機械で、鉄を加工するために欠かせない設備でした。日本で初めて導入されたものの一つで、日本に現存する最古のスチームハンマーです」とガイドさん。
その大きさに、思わず「これが動いていたのか…!」と想像してしまいます。
館内には、製鉄所建設に尽力したヴェルニー小栗忠順の資料展示もあり、功績を知ることができます。

見どころ②:戦艦「陸奥(むつ)」の主砲

続いて、ヴェルニー記念館のすぐそばに展示されている巨大な大砲の砲身に向かいます。
これは、戦艦「陸奥」に搭載されていた41センチ連装砲のうちの1門。戦後に引き揚げられた貴重な実物で、砲身の大きさから当時の戦艦のスケールを体感!

戦艦「陸奥」に搭載されていた41センチ連装砲のうちの1門


陸奥」は1921(大正10)年に就役した超弩級戦艦で、横須賀海軍工廠で建造されたことから、横須賀は“陸奥の生まれ故郷”とされています。
瀬戸内海に沈んだ「陸奥」。その引き上げに使われた起重機船の名前は、なんと「長門(ながと)」――「陸奥」の姉妹艦と同じ名前でした。まるで「姉が妹を引き上げた」かのような偶然、歴史のロマンが詰まったこのエピソードにちょっと感動。

見どころ③:海上自衛隊・米海軍横須賀基地の眺望

ヴェルニー公園 ボードウォーク

さて、ツアーは海の方へ進んでいきます。公園の海沿いにはボードウォークが整備されていて、そこから海上自衛隊と米海軍の横須賀基地を一望。
ガイドさんが「ここから見える護衛艦、駆逐艦や潜水艦、まさに“これぞ横須賀”という景色ですよ!」と案内してくれました。特に潜水艦は珍しく、海上自衛隊の潜水隊が置かれているのは、全国でも横須賀と広島県の呉だけだそうです。
(ちなみに先日、アメリカのトランプ大統領が米海軍横須賀基地を訪れた日は、ヴェルニー公園は見物する方で大変賑わったそうです・・・!!)

そして米海軍の艦船を眺めながら、横須賀を母港とする第7艦隊の旗艦・ブルーリッジの国籍旗について、ガイドさんが「ブルーリッジには特別な旗が掲げられているんですよ」と教えてくれました。
それが、赤と白の横縞にガラガラ蛇が描かれた“ファースト・ネイビー・ジャック”という旗。
「ここに書かれている“DON’T TREAD ON ME”は、“私を踏みつけるな”つまり“我々の自由と権利を蹂躙するな”というアメリカのモットーなんです」とのこと。
ここからブルーリッジを見ることはできないのですが、停泊している米海軍の艦船に更に興味が湧きました。

見どころ④:逸見波止場衛門

次に見学したのは、逸見波止場衛門。緑色の帽子を被ったような2つの建物です。
軍港の歴史と面影を伝えるこの門は、1929(昭和4)年から1930(昭和5)年頃に建設されました。旧横須賀軍港の衛兵詰所として使われていた歴史的建造物で、日本遺産に認定された横須賀市の構成文化財の一つです。

逸見波止場衛門

そして、ここを通った歴史上の人物の話に。
「実はこの門、山本五十六連合艦隊司令長官が通った歴史があるんです」とガイドさん。
「1943(昭和18)年、前線視察の際、ブーゲンビル島の上空で戦死した連合艦隊司令長官山本五十六大将は、ラバウルで荼毘に付され、遺骨が戦艦「武蔵」で日本へ運ばれて木更津沖での告別式の後、この衛門を通って上陸、横須賀駅から特別列車で東京へ向かい、日比谷公園で国葬されました。皇族・華族以外で、国葬を受けた最初の人なんです」と続けられました。
当時の軍港としての横須賀の重みがじんわりと伝わってくるようなお話しでした。

見どころ⑤:ヴェルニー・小栗胸像

逸見波止場衛門を見終えたら、ちょうど開催されていた「ワインフェスタ」の賑わいが広がるゾーンを歩きながら、ヴェルニー小栗忠順胸像が並ぶ一角へ向かいます。
ガイドさんが「ここは横須賀の近代化を支えた二人の功績を称える場所なんですよ」と案内してくれました。

ヴェルニー・小栗胸像
※別日撮影の写真(ツアー当日はイベント開催中のため)
  • フランス人技師ヴェルニー
  • 幕末から明治初期に横須賀製鉄所(後の横須賀造船所)の建設を指導した人物。
    その技術力と指導力は、日本の近代工業の礎となりました。
  • 小栗忠順
  • 幕末期の日本の武士(幕臣)であり、製鉄所建設を強力に提言した立役者。
    日米修好通商条約批准書交換のためにアメリカへ渡って近代技術を目の当たりにし、「日本にもこれが必要だ」と確信したそうです。
    そして今、2027(令和9)年のNHK大河ドラマ『逆賊の幕臣』では、この小栗忠順が主人公に選ばれました。

ガイドさんは、これらから注目が集まるであろう小栗忠順について、特に話してくれました。
小栗忠順って、教科書にも載ってないんですが、実は“明治の父”とも呼ばれるすごい人なんですよ。幕末の動乱の中で、西洋の技術をいち早く取り入れて、日本を近代化しようとした改革者なんです。でも、当時の幕府ではその考えが理解されず、反発も多かった。最終的には冤罪で斬首されてしまうんですが…その先見性は、近年、再評価されて、なんと2027年の大河ドラマの主人公にも選ばれたんです!歴史の陰に隠れていた偉人が、ようやくスポットライトを浴びますね。」

小栗が処刑された河原の石


お二人の胸像の後ろには、綺麗なバラとともに、処刑された河原の石が並べられていることを教えてくれました。

見どころ⑥:よこすか近代遺産ミュージアム ティボディエ邸

さて、胸像を見終えて、小栗忠順と一緒にアメリカに渡り、アメリカで大人気になった立石斧次郎(たていし おのじろう/後の長野桂次郎〔ながの けいじろう〕)「愛称トミー」という若い武士の話しを聞きながら、よこすか近代遺産ミュージアム ティボディエ邸に向かいます。
このトミー、当時まだ17才で、通訳見習いとして同行したそう。物怖じしない明るい性格でアメリカ人に大人気となり、その人気ぶりにあやかった「トミー・ポルカ」というポルカ調の歌まで作られたといいます。
大河ドラマに斧次郎はどのように登場してくるのか、誰が演じるのか・・・。ガイドさんの話から期待が膨らみます!

大石さん

美しいバラの花壇の間を歩いて進んでいくと、異国情調溢れる雰囲気の建物が見えてきました。
よこすか近代遺産ミュージアム ティボディエ邸に入館します。

よこすか近代遺産ミュージアム ティボディエ邸は、旧横須賀製鉄所の副首長だったフランス人技師ティボディエの邸宅跡を復元した、横須賀における近代化の歴史を展示するミュージアムです。

「建物の屋根には、西洋式のトラス構造(フレンチトラス)が使われていて、三角形を組み合わせた骨組みで、軽くて丈夫。2001(平成13)年の解体調査で、建設当初の部材がそのまま残っていたことが分かって、建築的にもとても貴重なんですよ」とガイドさん。

よこすか近代遺産ミュージアム ティボディエ邸内部


さらに、「この建物は木骨煉瓦造といって、木の骨組みに煉瓦を積む西洋式の建て方。木が緩衝材となって揺れを吸収するので耐震性に優れ、地震の多い日本には最適な工法。富岡製糸場などにも使われていて、日本の近代化を象徴する技術です」と、建築の背景も教えてくれました。


ヴェルニーさんとティボディエさんは、奥さん同士が実の姉妹の義兄弟だった、というちょっとした豆知識も覚えましたよ!

見どころ⑧:石碑・文学碑

ティボディエ邸を出てすぐの一角に、旧海軍にまつわる5つの石碑と文学碑が並んでいます。
ガイドさんの説明の中で特に印象に残ったのが、戦艦山城の碑。
「山城は規律がとても厳しくて、当時の海軍の兵隊さんたちの間では“乗るな山城、鬼より怖い”なんて言われていたそうですよ」と、少し笑いながら教えてくれました。
その言葉からも、軍艦内の緊張感や規律の厳しさが伝わってきました。

石碑・文学碑

ヴェルニー公園の見どころを全て周ってぴったり1時間!
三笠循環バス1日乗車券を使って、世界三大記念艦「三笠」や「いちごよこすかポートマーケット」に移動する方に向けて、ツアー終了場所から最寄りのバス停「汐留」停留所の場所を案内していただき、ここでツアーは終了しました。

話の広げ方がとってもお上手なガイドの大石さん、楽しいガイドをありがとうございました♪
ガイドさんは日によって異なります。よこすかシティガイド協会では個性豊かなガイドさんが揃っていますので、どんなガイドさんに出会えるかは当日のお楽しみです!

まとめ

ガイドさんの案内があることで、ただ歩くだけでは気づけないヴェルニー公園に隠れた歴史やぐっと身近に感じられる体験になりました。歴史好きの方、地元をもっと知りたい横須賀近隣の方にも非常におすすめ
もちろん、2027(令和9)年の大河ドラマの予習にもバッチリです!

NPO法人よこすかシティガイド協会について

よこすかシティガイド協会では、様々なテーマを基に企画したツアーを年間通して開催中。
参加費500円!地元を知り尽くしたベテランガイドが楽しくご案内いたします。
また、グループなどでガイドの依頼も承っております。
詳しくは、よこすかシティガイド協会ホームページをご覧ください♪
NPO法人よこすかシティガイド協会