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横須賀の歴史を巡る!日本遺産 田戸台分庁舎一般公開の見どころ完全ガイド【2024年】

令和6年(2024年)11月23日(土曜日)、24日(日曜日)に田戸台分庁舎(旧横須賀鎮守府司令長官官舎)の一般公開が行われました。
大正2年(1913年)に建設された庁舎は平成28年(2016年)4月に「日本遺産」に認定されました。
現在は海上自衛隊横須賀地方総監部が管理しているため、普段は入ることができない貴重な施設です。

高台にある田戸台分庁舎

横須賀地方総監部 田戸台分庁舎

京急本線 県立大学駅から徒歩10分、急な坂道を上がり切った高台のところに、横須賀地方総監部 田戸台分庁舎があります。
田戸台分庁舎(旧横須賀鎮守府司令長官官舎)は旧日本海軍横須賀鎮守府の司令長官官舎として大正2年(1913年)に建設され、終戦までに31人の歴代司令長官が居住していました。

横須賀地方総監部 田戸台分庁舎

立派な門と塀ですよね。一部を除き、当時のものが現存しています。

一般公開の時間は10時~15時(最終入場14時30分)です。
10時すぎに到着すると来場者で行列ができていました。
受付ではピアニストによるミニコンサートの整理券を配布(先着順)していました。

広い敷地と重厚な建物に圧倒されます

横須賀地方総監部 田戸台分庁舎

広い敷地の奥を進んでいくと、煙突や出窓がある西洋風の建物が見えてきました。
煉瓦タイル張りの洋風館と和室を構える和風館を併設した重厚感のある建物です。

建物には木製フレームを見せる西洋風の建築様式(ハーフティンバー)が使われています。
中央が尖った切妻屋根や石造りの煙突、出窓など、初めて見る庁舎に感激です。

横須賀地方総監部 田戸台分庁舎 入り口

こちらが入り口です。
入り口側の出窓のステンドグラスも美しいですね。

海上自衛隊のロゴマーク

切石敷の玄関アプローチの隅には海上自衛隊のロゴマーク(桜に錨)が刻まれています。

田戸台分庁舎玄関

重厚な玄関ドアです。
階段には田戸台分庁舎100周年記念のプレートが設置されており、一つひとつに歴史を感じます。

旧応接室の貴重な資料や調度品

旧応接所

玄関を入って左には旧応接室があります。
完成当初は応接室として使用されていましたが、現在は記念館となっています。

国旗、旭日旗と大きなデスク、日ロ戦争での連合艦隊司令長官東郷平八郎の立像、第26・30代横須賀鎮守府長官・野村吉三郎の胸像が展示されています。

当時は司令長官が使用していた部屋だと思うと、身が引き締まるような思いです。

立派な書棚

書棚には丁寧な細工が施されています。中には貴重な書籍が収められています。

貴重な資料

大正4年に作成された案内状など貴重な資料も展示されています。

玄関ホール

パネル展示

玄関ホールには分庁舎の設計者 櫻井小太郎氏についての説明や建設当時の分庁舎内装の写真がパネル展示されています。
当時の古い画像も掲載されており、現在の建物と見比べながら読みながら大変参考になりました。

歴代横須賀鎮守府長官一覧

歴代横須賀鎮守府長官の一覧が掲載されています。
初代は海軍中将 東伏見宮依仁親王で、終戦まで34代の鎮守府司令長官が居住しました。

玄関ホール

この建物を手がけた櫻井小太郎氏は日本人初の王立建築家協会建築士で、重要文化財である入舟山記念館(旧呉鎮守府司令長官官舎)など、数多くの歴史的な建築物を設計しました。

アーチドアや付け枠、天井周りにも芸術性の高さが伺えます。
左の廊下は和風館につながっています。

右の部屋は食堂です。
ホールからも美しいスタンドグラスが見えますよね。どの角度から見ても絵になる美しさに感激します。

重厚なダイニングルーム

ダイニングルーム

約20名が着席できるほどの広いダイニングルームは、天井が高いため開放感があります。
シャンデリアがキラキラと輝いており、まるでお城に来たような非日常の空間です。

東郷平八郎の書

壁には東郷平八郎による「集気海(海に気集まる)」の書が掲げられています。

食堂の窓際

食堂の窓際の席はおしゃれですね。
赤く染まった紅葉が見えており、ゆっくり外を眺めながら紅茶などをいただきたくなります。

約100年前に製造されたピアノの美しい音色

田戸台分庁舎居間

食堂に続く居間は広く、約100年前に製造されたスタインウェイ社(ドイツ製)のピアノが置いてあります。
見つかった当時は劣化が激しかったそうですが、貴重なピアノのためスタインウェイ社に依頼し、復元、修復され蘇りました。

スタインウェイ社ピアノ

この日は三浦市出身のピアニスト 高梨壮一郎さんによるミニコンサートを開催。
リハーサルを終えた高梨さんに伺うと「白鍵は現代では珍しい象牙で作られており、弾いた感覚も重みがある」と仰っていました。

高梨壮一郎さんによるミニコンサート

ミニコンサートではベートーベンやシューベルトの名曲を演奏されました。
重厚で美しい音色は、歴史ある建物内に響き渡り、胸を打つ感動的なミニコンサートでした。

ステンドグラス作家 小川三知氏の作品

使用されていた暖炉は現在は使用されていませんが、当時の面影を残しています。

庁舎のあらゆる部分に使用されているステンドグラスは日本人初のステンドグラス作家 小川三知が制作したもの。
終戦までは孔雀のステンドグラスもありましたが、アメリカ軍接収後の改装で取り外されました。現在はタイルと木レンガによる装飾として飾られています。
繊細で芸術性の高い作品は必見です!

和室

田戸台分庁舎和室

奥は2階建ての日本家屋になっており、8畳の和室(二間)があります。改装されており、綺麗な状態です。
庭園側に大きな窓があり、庭園を眺めることができます。

美しい庭園の先には絶景が見えます

田戸台分庁舎庭園

純和風の庭園には、紅葉や松、桜などが植えられています。
季節ごとに美しい景色を愛でていらっしゃったのでしょうね。

田戸台分庁舎庭園

屋外にあるため、雨風に打たれて風化した灯籠も趣がありますね。

田戸台分庁舎防空壕

現在は立ち入ることはできませんが、敷地内には防空壕が2つあり、入り口だけ見ることができます。

浦賀水道の眺め

見学に行かれたら、ぜひ見ていただきたいこの絶景!
見晴し台からは、走水・浦賀水道がよく見えます。
関係者様にお話を聞くと、昔は高台の下は砂浜だったとのこと。
この高台から、海防の要所である浦賀水道を行き交う船舶を監視していたそうです。

約100年で時代や景色も大きく変化しました。
いつの時代になっても、美しい横須賀の海や街、そしてこの貴重な田戸台分庁舎と平和を願う思いが続きますように。

横須賀地方総監部 田戸台分庁舎情報

通常は非公開の施設となります。
次の一般公開時期は未定ですが、例年は春頃と秋頃に一般公開が行われます。

【住  所】神奈川県横須賀市西逸見町1丁目無番地
【アクセス】京急線 県立大学駅より徒歩約10分
【URL】https://www.mod.go.jp/msdf/yokosuka/tadodai/index.html

※2024年12月現在の情報です。最新情報は公式サイトなどでご確認ください。

横須賀地方総監部 田戸台分庁舎まとめ

田戸台分庁舎外観

100年以上前に建てられた田戸台分庁舎は、歴史と趣が感じられ、全てが感動的でした。
当日はよこすかシティガイド協会さんによる見学ツアーもありました。
詳細な説明を聞きながら見学すると、より一層当時の様子が分かりますよ。

庭園には種類多くの桜が植えられており、桜の時期にはさらに美しく見えることでしょう。
次の一般公開時期は未定ですが、例年は春頃と秋頃に一般公開が行われます。

一般公開が開催される際には、ぜひ足をお運びくださいね。

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